k_nishida

法律学はおもしろい学問です。
なぜなら、法律が「人」に関わるものだからです。契約を結ぶのは人ですし、犯罪を犯すのもまた人です。

 何人か人がいれば、そこに社会ができ、ルールができます。ルールは、人がよりよく生きるための知恵の結晶でもあります。そのルールについて考えるのが法律学です。法律学科では、そのルールが、なぜ必要なのか、人にとってどういう意味を持つのかなどを研究します。

 私が専門とする行政法学では、行政と人との関係を法律学の視点から検討します。たとえば、先ごろ話題になったアスベスト訴訟は行政法に関係しています。この訴訟では、行政が適切に規制しなかったために工場労働者等が被害を受けたことが争われ、最高裁は行政(国)の責任を認めました。裁判所が法によって人を救済したのです。

 また、かつて自然破壊をめぐって、アマミノクロウサギやジュゴンを原告とする訴訟が提起されたことがありました。実際に訴訟をするのは人ですが、裁判所は「原告が人でない訴訟は認めない」という立場をとりました。法律は動物や自然のためのものではないというのでしょう。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。こうした疑問を解決することも法律学の役割に含まれています。

 法律学科で、人、社会、ルールについて一緒に学び、法的思考を身につけてみませんか? 法的思考を身につけて生きることは、これからの皆さんの人生にとって大きなプラスになるはずです。

田中准教授のメッセージ

一緒に国際法を
学んでみませんか

 法律学科で学ぶことのできる科目は、日本の法律に関するものだけではありません。私が専門とする国際法は国際社会の法であり、それは主に国家間の関係を規律している法律です。

 国際社会には、諸国を統制することのできる中央集権機関は存在しません。つまり日本の政府や国会、最高裁判所のような機関は世界レベルでは存在しないのです。そのような状態で国際法を守らせることができるのでしょうか?疑問に思われるかもしれませんが、実は国際法はよく守られており、国際秩序を維持していくために重要な役割を果たしています。人々が共に生きていくためにはルールを守る必要があるのと同じように、国家も国際法という一定のルールを守ることで、国際社会の秩序を維持しようとしているのです。

 しかし、何らかの緊急事態が生じ、国家にとって重要な利益が脅かされると、国際法を守ろうとする国家の意欲は低下してしまいます。危機的状況におかれた国家は、国際法に違反してでも自国の利益を守ろうとする場合があるのです。たとえば経済危機が起きたら、国家は外国人投資家との約束を破ってでも(投資に関する国際法規則に違反してでも)、自国の財政を立て直すことを優先したいと考えるかもしれません。

 このような状況が起こった場合、国際法はどのように対応すべきでしょうか。国際社会の秩序を保つためには、国際法の違反を放置するわけにはいきません。その一方で、危機的状況のなかで国際法に従うことが国家の重要な利益を損なわせるなら、諸国は国際法を役に立たないものと考えるかもしれません。強制的に国際法を守らせる手段が十分整備されていない現状において、国際法は役に立たない、だから従う意味がないとなれば致命的です。

 私はこうした問題に関心を持ち、国家の危機と国際法秩序の関係を考察する研究に取り組んでいます。その研究成果を日々の講義に反映させるように努めていますし、また、ゼミでの学生との議論が研究を深めるきっかけとなることもあります。

 もちろん、授業ではより幅広いテーマを扱います。国際法が対象とする分野はきわめて多様で、国家領域、海洋、宇宙、人権、貿易、環境、武力紛争など多岐にわたります。日本が深く関わる問題も多く、最近では、近隣諸国との関係(特に領土問題)に関連して国内でも国際法は注目されています。法政大学法学部で国際法を学び、国際社会へと視野を広げましょう。