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政治学科で学ぶ対象は、
政治家や政党の言動、選挙制度などの政治制度だけではありません。

 分析や理論的考察の光を当てなければ明瞭には見えてこない政治的な価値や思想、歴史的背景、さらには政策の形成や実施の過程—これらについても学ぶことができます。

 たとえば、選挙制度が民主主義を具体化するものの一つだとしても、そもそも「民主主義」とは何であり、またそれは選挙制度によってだけ実現できるものなのでしょうか。選挙制度も国際比較の視点から見ると多様です。

 では、そうした多様性は各国・地域のどういった政治状況や歴史、(政党)政治の考え方を背景に選び取られたものなのでしょうか。たとえばこうした問いを立て、考察できるようになるための多様な科目を政治学科は用意しています。

 私自身は福祉国家の研究が専門です。政治学科の担当科目では、福祉国家の複数の見方に触れつつ、福祉国家の国際的な多様さとその要因を多角的に考察していきます。

 老齢年金制度における負担と給付の関係が世代間で不公平であるという見方が広がっていますが、それに対して「問題」をどう定義するのかを含めて、どういった選択肢があり得るのか。こうした問いにも取り組みます。

 政治学科では、皆さんが関心を深めるきっかけを掴めるように、1年次に入門演習を配置しています。それぞれの関心から政治学のフィールドで根と枝葉を伸ばしていく際の自由度の高さと、それを支える多彩な専門科目群が政治学科の特色です。

廣瀬教授のメッセージ

政治学から世の中の
「当たり前」を問い直す

 蛇口をひねれば水が出る。家の前には道があって、バス停まで歩き、いつものバスに乗って学校へ行く。当たり前すぎて、わざわざ意識して考えることのないこれらのことは、じつは政府の活動(つまり政策)を前提として成り立っています。

 たとえば水道は、ほとんどの地域で自治体が運営しています。道路を管理しているのは国、都道府県、市区町村です。道路に接していない場所に建物を建ててはいけないという法律があるから、家の前には道があります。バスは民営でも、その経路やバス停の場所については政府が関わります。運賃にも政府の認可という仕組みがあります。

 皆さんは政策といえば、国際紛争への対処や自由貿易をめぐる国際交渉、憲法の解釈変更といった、よく目立つ「派手」な政治の争点を思い浮かべるかもしれません。しかし政治学の対象は、私たちの日常の生活のなかにもたくさんありますし、じつはそうした「地味」な政策の日々の運用によって、私たちの生活は支えられ、存在しているわけです。そして政治学では、派手なものの動向から知ることもたくさんありますが、地味な方も結構奥が深いのです。私が専門としている行政学や公共政策という分野は、政治学のなかでもどちらかというと、そうした地味な方を受け持つことの多い領域です。

 さて、それはおもしろいのでしょうか?

 2007年に郵政事業は民営化されました。その評価はさまざまですが、明治時代からずっと続いてきた「郵便は政府の仕事」という100年間の「常識」がじょじょに変化し、大きな政治の争点になり、制度が変更されたわけです。「当たり前」のことがあまり疑問に思われず、大きな変化が起こりにくい時代もあれば、多くの「当たり前」に対して疑問が突きつけられ、さまざまな変化が立て続けに起こる時期もあります。

 しかしどちらにしても、こうした事柄からわかるのは、ある時点の「当たり前」は、決して変わりようのないものではないということです。今の世の中のあり方をすべて「当たり前」ととらえてしまうと、それは選ぶ余地がなく、今あるままに受け入れるしかないものに思えます。「当たり前」は変化しうるものととらえるなら、今ある世の中のあり方は、選び直し、変えることができると考えられます。それは世の中に対する、ちょっと新鮮な「発見」ではないでしょうか。

 政治学はそんな発見をしばしば与えてくれます。政治学科で学び、ワクワクする発見をしてみませんか。