学部長のメッセージ

ルールを学んで社会を知り、
社会を知ってルールを動かす

荒谷 裕子

 「社会あるところ法あり」という格言を耳にしたことがあると思います。いささか言い古された言葉ですが、やはり意味するところは多いように思います。もちろん、ルールがなければ社会は動きません。しかし、ルールの中身は、「社会」によって大きく違うところもあります。

 法学部は、法律学科、政治学科、国際政治学科からなります。それぞれの学科名から、関心や対象の違いはありますが、しかし広い意味で社会のルールを学ぶことに変わりはありません。法律を学ぶには、社会や政治の動き、今日では世界情勢や国際協力にも目を向けることが必要です。政治の制度はルールによって作られており、組織や政治活動はルール形成や運用の場面でもあります。国際組織も、国際的であるからこそのさまざまな違いをまとめ、力関係だけに左右されないためにも、ルールをつくることの意義は大きくなります。

 グローバルな場面だけでなく、私たちの日々の暮らしでのグループ、あるいは家庭にもルールはあり、逆に言えばそこにも何か政治的な力が関わりを持ちます。つまり、「社会」には、サークルや地域から、国際社会まで、大小・広狭あり、そこに固有のルールもあれば、国のルールが関わってくることも増えています。こうしたさまざまな場面から、ルール、そして法や政治にアプローチしてみると、逆にそれぞれの「社会」を知ることにもつながります。そしてルールは人々の行動や考え方に関わるものですから、結局は人間のありかたを学ぶことになります。

 ルールとの関わり方や扱い方には、社会の違いをこえて、共通の基礎があります。法学部は、政治や国際政治、法律解釈の基礎から専門知識までを学ぶだけでなく、広く社会や世界、そしてごく身近な問題にも目を向け、それらをより深く理解するために、違う考え方や異なる制度などと比べ、歴史的な由来を探ってみる機会も用意しています。そのなかで、法律や政治を見る目を養ってください。

 法学部卒業生は、法曹や公務員、ジャーナリストから各種業界の企業など、いろいろな「社会」に巣立っています。皆さんもこれから、ますます「社会」でのルールに関わる機会が増えていくでしょう。そして、自分たちがルールを作ったり、動かしたりしていく役目を担っていく経験もあるかもしれません。そうした経験は、ひとりの市民として成長していく、大事なステップだと思います。

 このように、それぞれの国や社会のルールを知り、ルールを通じて社会に関わっていくことは、大学だけでなく、人生のあいだ続く「学び」であり、実践だと思います。その一つのスタートラインで、法学部での学びの輪に加わってみませんか。

 その一つのスタートラインで、法学部での学びの輪に加わってみませんか。